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ブラジルのBSE初発生に対する各国の対応(ブラジル)

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ブラジルで初めてのBSE発生

 ブラジル農務省(MAPA)は12月7日、同国南部に位置するパラナ州の繁殖牛(雌)(2010年12月死亡。死亡時約13歳)にBSEが確認されたと発表した。ただしブラジル政府は、今回の牛の死因は通常のBSEではなく、老齢による「非定型(atypical)」によるものであるとしている。ブラジルは1996年に反すう動物由来のタンパク質の飼料利用を規制したことに加え、動物性タンパク質に代わる豊富な大豆かすの供給量を確保している。また、今回死亡した牛は、牧草を給与されていたとされる。この報告を受けた国際獣疫事務局(OIE)は、ブラジルが2012年5月に獲得した「無視できるリスク」国というBSEステータスに変更がないとしている。

各国の輸出停止措置の影響は限定的

 現時点での諸外国の対応として、日本(12月8日)および中国、南アフリカ(両国とも12月13日)がブラジル産牛肉の輸入を一時停止している。ブラジル開発商工省(SECEX)によると2012年1〜11月累計のブラジル産牛肉輸出量は95万4000トンである。うち日本向けが1,489トン(ブラジル産牛肉(冷蔵・冷凍)の輸出実績はなく、加熱調製品のみ)、中国向け1万4593トン、南アフリカ向けが39トンとなっている。
 さらに報道によると12月17日、サウジアラビア(ブラジル産牛肉輸出量(2011年1〜11月累計)3万2409トン)とエジプト(同12万5357トン)がブラジル産牛肉輸入を一時停止したとされる。ただし、エジプトは牛が死亡したパラナ州産牛肉のみの停止措置としており、エジプト向け輸出量に占める同州産牛肉の割合は0.1%とわずかであるため、影響は比較的軽微とみられる。これらの5カ国の輸出量(2011年1〜11月累計)を合わせてもブラジルからの牛肉総輸出量の5.2%ほどであるため、同国にとって今回の措置の影響は限定的であるとされている。
 一方、輸入停止を検討しているとされるイラン(同6万3195トン)、ロシア(同23万5069トン)、ベネズエラ(同7万5777トン)の3カ国を合わせると総輸出量の39.2%を占めるため、仮にこれが実施された場合、ブラジル産牛肉生産に与える影響は大きいとみられる。
表1
表2
【岡 千晴 平成24年12月19日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-8609